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2021-12-10
感染症予防に新たな突破口!

感染症予防に新たな突破口!高雄医学大学チームがCOVID-19抗体検査を開発 検査結果に自信

世界における感染症の状況は変化し続け、個人レベルでの感染症予防が欠かせないなか、台湾における感染症予防研究で大きな躍進がありました。高雄医学大学(以下、高雄医大)健康科学院-医学検証バイオテク学科の王聖帆教授が率いるチームが、科学技術部現場計画支援(科技部場域計畫補助)を受け、2つのCOVID-19抗体検査技術の開発に成功。それぞれ、採血検査のSARS-CoV-2 Spike IgM/IgG ELISA、およびSpike抗体ELISA中和試薬検査プラットフォームと呼ばれるもので、高い精度、有効性、スピード感をもって、感染から14日以上が経過し回復期にある患者の血清検体と、二度のワクチン接種をした人の体内の抗体価を調べました。わずか1.5時間でCOVID-19ウイルス(変異株デルタを含む)に対する自己抗体価と中和抗体の抵抗力が判明し、その精度は95%以上に達しています。この研究は集団免疫の評価や個人の予防対策に対して新たな利器となり、世界中で変化を遂げるウイルスに対抗するとともに、ポストコロナにおける回復、水際対策の緩和、国際間の移動への準備に向けた大きなメリットとなります。

王聖帆教授は、この2つの検査法による抗体価は、アメリカ食品医薬品局(FDA)が承認するAbbottの抗体検査と一致していると指摘(特異性および感度はいずれも98100%)しています。また、Spike抗体ELISA中和試薬検査プラットフォームの検査評価でも、SARS-CoV-2 Pseudovieus (SARS-CoV-2偽型ウイルス-このウイルスの外套膜タンパク質はSARS-CoV-2ウイルスと完全に同じであることが中和試験で実証済み)を使用した中和試験結果と高い精度で一致していることがわかりました(特異性は100%、感度は96-99%)。この精度の高さに、研究チームは興奮を隠せませんでした。

台湾での1回目の新型コロナウイルスワクチンの接種率は11月下旬の時点で75%2回目の接種率は50%に達しましたが、水際対策の緩和に際し、欧米ではさらに新たな感染の波が押し寄せました。南アフリカでも新型コロナウイルスの変異株が見つかり、WHOはこれをオミクロンと命名。感染力はデルタ以上となり、各国で渡航禁止命令や都市封鎖などが起こりました。各国で3回目ワクチン接種の計画が進められると同時に、集団免疫の強化や、個人レベルでの予防に焦点が置かれました。

王教授はさらに検査の利便性や精度について、2つの検査プラットフォームは少量の血清検体のみ(約5マイクロリットル/0.005ミリリットル)で検査を行うことができ、わずか1時間半で結果が分かると指摘します。ELISA(エライザ/酵素結合免疫吸着測定法)を原理に用いた検査プラットフォームのため、操作が簡単で素早く行うことができ、コストも比較的低く、高い感度と特異性を有しています。よって、多くの臨床実験室で使用し、病原菌の抗原と抗体検査に用いることができます。新型コロナウイルスは広くまん延したため、ウイルスが絶えず変化し、変異株を生み出しました。研究の結果、一部の新型ウイルス変異株はACE2(アンジオテンシン変換酵素2)との結合力を強化してウイルスの感染率を高めることができ、スパイクタンパク質の突然変異もまたCOVID-19ワクチンの効果を減少させることが分かっています。

この他に、コロナワクチンの2回目接種後の体内の抗体濃度、抗体の持続時間、および抗体の変異株に対する免疫力は、さらに継続的な観測が必要とされています。リアルワールドエビデンス(RWE)の研究を通して、多くのコロナワクチン接種者は接種から68ヶ月後に体内の抗体濃度が著しく低下し、測定不能なほど減少する例も見られています。このため、現在、WHOFDAでは3回目のワクチン接種の方針を検討し始めています。これを受けて、学界や業界はワクチン接種後の抗体検査や、抗体のウイルス中和能力を測るための試薬やプラットフォームの研究に乗り出しています。

高雄医大のCOVID-19研究開発チームは、ワクチンの抗体検査において大きな成果を挙げています。SARS-CoV-2 Spike IgM/IgG ELISAおよびSpike抗体ELISA中和試薬検査プラットフォームは、コロナウイルス患者、およびコロナワクチン接種者の体内における抗体価を検査できるほか、異なる変異株(アルファ、ベータ、デルタなどのSASR-CoV-2変異株)に対する中和抗体の抵抗力を調べることができます。現在、この2つの検査法はすでに高雄医学大学付属中和紀年医院にて現場実験が完了しており、その結果は多くの国際研究機関による検査結果と一致していることが判明しました。高雄医大の医療チームの大きな貢献といえます。

現在、高雄医大は引き続きAMS BioteQとともに産学共同の研究も進めており、近い将来、高雄医大が開発したSARS-CoV-2 Spike抗原簡易検査薬がAMS BioteQに技術移転されます。この商品を空港やご家庭におけるコロナ簡易検査シリーズに加え、ともにコロナウイルスの脅威に立ち向かっていきたい考えです。