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世界の超細菌危機に対抗 AMS BioteQが台湾初の抗生物質を発表
AMS BioteQ蔡宜儒会長とそのチームは、潜在性のある新薬および未だ満足度の低い外用薬市場の開発に積極的です。
薬剤耐性のある超菌類 人類の健康にとって最大級の脅威
薬剤耐性のある超菌類 人類の健康にとって最大級の脅威
抗生物質が発明されてから現在まで90年余り。一度は感染症治療の万能薬とみなされてきましたが、抗生物質の過度な使用に伴い、細菌の薬剤耐性は徐々に強くなりました。加えて抗生物質の研究開発は緩やかになり、使用できる薬品は減少しつつあります。AMR(薬剤耐性)は各国で脅威となっており、病原微生物に対抗するための新たな方法を積極的に開発することが、グローバルレベルでの共同目標となっています。現在、台湾で研究開発が進む新型天然抗生物質は、創傷被覆材(ドレッシング材)や抗菌薬に適用することができ、世界における薬剤耐性の危機に希望の光をもたらすと考えられています。高雄出身の蔡宜儒会長は若い台湾研究開発チームを率い、新型抗生物質の模索と開発に尽力してきました。新たな製品ラインの創出を通して、克服が難しいとされる超細菌問題への取り組みに力を注いでいます。AMS BioteQ創設者の蔡宜儒氏は、会社設立以前から6年という年月を投じ、台湾本土の薬用食用真菌から抽出を行い、抗菌性物質の抽出物開発を行っています。
台湾発祥の新型天然抗生物質 ドレッシング材や抗菌薬に応用
蔡宜儒会長によると、現在各国は「超細菌」の危機に直面しています。超細菌とは、3種類以上の抗生物質に対し薬剤耐性を持つ病原菌の総称です。超細菌の種類と数は年々増加しており、すでに多くの抗菌薬は効き目がなくなっているため、医療業界では利用できる薬品が減少し、困難に直面しています。
AMS BioteQは2018年に設立し、南部サイエンスパークに転入すると、最初の主力商品として超細菌に対抗することができ、傷口の感染を抑えることのできる新型ドレッシング材MEDIACE®に注力してきました。すでに動物実験を経て、市販のドレッシング材よりも治癒効果に優れていることを発見しています。MEDIACE®は独自に開発した抗生物質FORMOSA-1117を結合させた独特なドレッシング材で、優れた抗菌成分と材質を利点としています。FORMOSA-1117は世界初の新型天然抗生物質であり、低分子特性を備え、トランスグリコシラーゼを抑えることで細菌が人体を侵害することを防ぎます。この他に、市販のドレッシング材はPUフォームや親水コロイドを利用しているのに対し、MEDIACE®はAMS BioteQが自社で改良を行ったゼラチン質を素材としています。傷口の滲出液を効果的に吸収するほか、抗菌成分を放出し、粘着を防ぎながら傷口の素早い修復を助けます。
AMS BioteQのMEDIACE®ドレッシング材 市場最先端の抗菌成分
蔡宜儒会長はこう述べています。「世界的な高性能ドレッシング材の市場規模は、2024年には158億ドル(米)に達すると見込まれていますが、現在市販されているドレッシング材の医療効果は理想的とは言えません。例えば、多くの商品は銀イオンを含んでおり、傷口の治癒や健康への影響が疑問視されています。このため、多くのバイオテク企業は傷口の二次感染を防ぎ患者の快適度を高めるため、新型ドレッシング材の研究に力を注ぎ始めています」。AMS BioteQのMEDIACE®ドレッシング材は現在特許申請中であり、2022年には取得予定です。今後、抗菌成分の濃度によって、ドラッグストアなどの一般薬品と、医療系専門市場とに焦点を合わせ、擦り傷や切り傷などの軽症から、手術や慢性病による深刻な感染症まで広くカバーしていく予定です。
YUAN-03抗生物質 各種コロナウイルスに高い抑制効果
FORMOSA-1117の開発を続けるうち、世界では新型コロナウイルスが猛威を振るうようになりましたが、AMS BioteQはコロナウイルス抑制の研究開発においても重大な発見をしました。真菌から抽出した新型抗生物質のYUAN-03が、2021年の4月と7月、それぞれ国家衛生研究院バイオテック薬研所及び台湾大学医学検証及びバイオテック学科抗ウイルス試験を経て、特定の条件のもと、ヒトコロナウイルスhCoV-OC43と新型コロナウイルスSARS-CoV-2に対し、100%近いウイルス抑制効果があると判明したのです。
蔡宜儒会長は、YUAN-03は台湾の薬用食用真菌から抽出し作られた新型抗生物質であり、台湾が独自で開発した初の抗生物質であると語ります。YUAN-03はすでに国家衛生研究院のヒトコロナウイルスhCoV-OC43に対する試験において、100%近いウイルス抑制効果が実証されていました。さらに、台湾大学実験チームの新型コロナウイルスSARS-CoV-2体外抗ウイルス試験によって、1ミリリットル当たり51.63マイクログラムの投与量濃度で50%のウイルス感染を抑えることが分かりました。さらに投与量濃度75マイクログラム/1mlの場合、ウイルス抑制率は100%に達し、研究チームはこの結果に興奮を隠せませんでした。AMS BioteQによる独自の、最先端の新薬開発戦略がついに認められたのです。蔡宜儒会長はさらに、このことは台湾で独自に開発された抗生物質が、新型コロナウイルスの治療に希望をもたらしただけでなく、今後、その他のコロナウイルスによる疾病や、さらには多剤耐性細菌に対しても治療効果を生むことができるという証明だと述べています。
薬品メーカーとの提携 製品ラインの拡大
AMS BioteQは100%台湾生まれの研究開発チームです。短期的目標は、FORMOSA-1117やYUAN-03といった新型抗生物質で研究成果を世界的な一流科学雑誌『Science』や『Nature』などで発表し、大手薬品メーカーと提携して臨床実験を進めていくことです。また長期的な目標としては、商品の発売、国際的な薬品メーカーとのライセンス契約などを通じてさらなる資源を獲得し、研究開発の拡大と製品ラインの多様化を図ることで、台湾バイオテク産業の主力となることです。蔡宜儒会長は、「超細菌は、人類を健康面での暗黒期に追いやり、かつてのように軽度の感染から死に至るような時代がやってくるかもしれません」と語ります。AMS BioteQは、そのような状況に少しでも貢献し、新しい医療技術を駆使して超細菌に全力で立ち向かいたいと考えています。「真摯に研究に打ち込み、広く有益な情報を集め、共に努力することで、AMS BioteQは世界中で抗生物質を必要とする人々を助け、この世界をより良く変えていけると信じています。これが、私たちが日々努力を重ねるための信念です。」